【第17作目】戦艦「日向」【1/700・フジミ特-97・純正EP】

製作記

フジミの特-97戦艦「日向」を純正エッチングパーツを使用して製作しました。このキットの純正エッチングパーツはディテールアップの要所をしっかりと押さえられており、かなり見ごたえのある作品に仕上がりました。

完成写真

完成写真をクリックで拡大します。

製作工程

これまでいくつものフジミの特シリーズを純正エッチングパーツを使って製作してきましたが、こんなに豪華なパッケージの純正エッチングパーツは初めてです。そして、エッチングパーツの説明書も両面印刷の2枚組でとても分かりやすいです。

フジミ模型 1/700 特シリーズ No.97 日本海軍戦艦 日向 昭和16年 プラモデル 特97
フジミ模型(FUJIMI)
組み立て、塗装が必要なプラモデル。別途、工具、塗料等が必要。

はじめに船体を接着します。接着する際には反りを修正するために平坦な板を当て、クランプで固定しました。また、艦底にはケース固定用のナットを固定しておきます。前作の利根では製作途中にナットが外れるというハプニングがありました。利根は瞬間接着剤だけで固定してあったのですが、瞬間接着剤だけではダメですね。今回はプラ棒も併用でガチガチに固めました。

※甲板パーツを接着する前に、、純正エッチングパーツを使用する場合、艦載機が説明書の位置に付かない場合があります。万が一、位置を変更する場合に備えて、滑車のダボ穴を埋めておいたほうが良いです。、裏側からプラ板を当ててから、表面をパテで埋めます。軌条の間ということで作業はし辛いですが、頑張って埋めましょう。

舷窓はすべて0.5mmのピンバイスで穴を開けなおしました。そして、今回が初挑戦となるディテールアップ工作ですが、鉄板の板目をスジボリで表現してみました。鉄板の板目はサーフェイサーの厚塗りで再現される方が多いようですが、窓のモールドが潰れそうだったので、今回はスジボリで再現してみます。スジボリのガイドは、一般的な紙のマスキングテープでは強度がなく私のスジボリ技術では線がブレそうな予感がしたため、ビニール系のマスキングテープを使用しました。

けがき針は、ハセガワのモデリングスクライバーを使用しています。金属のほどよい重量感と先端の鋭さがとても使いやすいです。ペン感覚で彫れます。

艦橋にエッチングパーツを取り付けました。窓枠や信号旗桁、手すり、クレーンの滑車など充実の内容です。艦橋は、床面がリノリウムでの塗り分けがあるので、この段階では仮組です。

※この段階ではまだ接着していないエッチングパーツがあります。※窓枠で1か所だけエッチングパーツがついていない箇所がありました。本作では他の余ったエッチングパーツを使用し置き換えてあります。※エッチングパーツのA11は、A73との位置関係を調整してから接着して下さい。※B30の接着位置が曖昧です。上部につくパーツと合わせながら調整して下さい。

既存の窓のモールドを削るのは少し難しいですが、ノミ系の工具があれば便利です。私はハセガワのモデリングチゼル平細を使用しています。

さて、純正エッチングパーツを使用する場合の最大の難所がこの煙突周りのパーツです。エッチングベンダーで挟めない幅の狭い折れ点があり、曲げるのが難しいです。私は厚手のプラパンを当てながら曲げました。また、曲げの角度の調整がかなりシビアです。はじめは、どうにもこうにも収まらず苦労しました。

リノリウム甲板を塗装しマスキングしました。本当は艦橋にもう1段リノリウム甲板があるのですが、うっかり接着してしまっていました。

ここで、新しいディテールアップに挑戦します。甲板のマスキングの簡略化と通風筒のディテールアップのため、まずは既存の通風筒のモールドを切り取りました。切り取る前にノギスで寸法を計測し、モールドの位置が分かるようにピンバイスで穴をあけました。寸法の記録には手書き入力に強いマイクロソフトのタブレットパソコン、サーフェスGOを活用しました。

この段階で木甲板の塗装を行います。木甲板は、セールで塗装した後、ダークブラウンでスミイレしムラを残しながらふき取れば、単色塗装ですが木甲板シートのような質感に仕上がります。今回はさらに、板目に沿って数か所ふき取って、明るい板目も再現してみました。板目のふき取りにはスポンジタイプのフィニッシュマスターがとても便利です。

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まず、はじめに煙突内部のA48とA50のエッチングパーツですが、説明書は上下逆になっていますので注意して下さい。どれだけ削っても、ファンネルキャップが干渉するのでおかしいなと思っていたら、説明書が上下逆ということに気付きました。A90のパーツは床の形状と合いませんが、そうしないとホーサーリールとラッタルが付かないのでそのような形状になっています。

木甲板をマスキングして、軍艦色を塗装します。通風筒がないだけで木甲板のマスキングはかなり楽になりました。

プラ棒に銅線を巻いて、ホースを再現しました。同サイズのプラ材の切り出しにはチョッパー2型が便利です。ホースは指定色のホワイトで塗装した後、Mr.ウェザリングカラーのサンディウォッシュでトーンを落としてあります。

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エバーグリーンのプラ棒を使って、通風筒を自作しました。使用したプラ棒は1.6mm、1.2mm、1.0mm、0.75mm、0.50mmです。大小2種類の太さのプラ棒を組み合わせてキノコ型にしてあります。

ホーサーリール、通風筒を甲板に配置していきます。

探照灯はレンズ部をマスキングし、レンズ部分がより光を拾うように下地にシルバーを塗ってから、軍艦色を重ねました。

連装機銃には、防盾と照準器のエッチングパーツが付きますが、どうして3連装機銃の分がないのかなと思っていましたが、、日向は3連装機銃自体が付かないことが後に判明。説明書をちゃんと見ずにテキトウにやっているとこうなります。

日向の純正エッチングパーツには、艦載機のパーツも含まれていました。これはとてもありがたいです。

クレーンのワイヤー部はメタルリギングを張りました。

マストの先端を0.3mmの真鍮線に置き換えました。キットの太さは0.5mmです。わずか0.2mmのことですが、ここを真鍮線に変えることによって全体がシャープに引き締まります。

艦船模型に目覚める前は長年ガンプラモデラーだったのですが、そのときはスケールモデラーの1mm以下のこだわっている姿に住む世界が違うなと思っていましたが、、今ではわずか0.2mmにこだわっている私がここにいました。

うん、0.2mmの違いはデカすぎます。

主砲のキャンバスは、指定色のホワイトで塗装した後に、サンディウォッシュでトーンを落としました。

塗装済みの手すりを接着していきます。フジミの純正エッチングパーツの手すりは折れ点に溝が切ってあるので加工が楽です。折れ点が複数ある長い手すりは一発で合わせるのが難しいので、写真のように適当な箇所で分割するのもの手です。また、純正と言えど折れ点が複数ある手すりは微妙な位置のズレで折れ点が合わなくなってくる場合があり、そういう場合も手すりをカットして調整します。

艦橋の組立が完了しました。高角砲や遮風装置は純正のままですが、濃いめの塗料でしっかりとスミを入れれば、棒が筒に、溝が穴に、それなりに見えます。

信号旗掲揚索を張っていきます。索はセールで塗装した0.1号のメタルリギングを使用しました。張線は、デバイダーでおおよその長さを拾ってやると材料のロスを減らせます。

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塗装済みの構造物を取り付けていきます。クレーンの滑車にワイヤーを張りました。いい感じです。

艦載機の迷彩は、エナメルで筆塗りしました。デカールはマークソフターを使用し曲面にもしっかりと密着させました。

説明書には艦尾に1機配置するようになっていますが、旗竿と干渉しそうだったので、位置を変更しました。のちほど、この位置でもクレーンに干渉することが分かり、また位置を変更しました。

Mr.ウェザリングカラーのブラックとステインブラウンを使って、 ウォッシングと錆の表現を行いました。ウォッシングは、モールド中心にブラックを流して、水平面はポンポンと叩くように。垂直面は雨垂れを意識して引くようにボカシました。わずかな違いですが、よく見ると色に変化でてていい感じです。

空中線はメタルリギングの0.06号を使用しました。メタルリギングは張線の自然なたるみの表現が可能な材料ですが、0.06号は線が細すぎて、不自然によれてしまうので、少しテンションをかけてタルミは無しで張ってあります。張線完了後、エナメルのホワイトで碍子を再現しました。

今回はけっこううまく張れたと思います。接着剤の付けすぎで団子になったり、不自然な歪みもなくいい感じです。

完成です。

あとがき

とにかく、言いたいことは純正エッチングパーツのバランスと出来がとても素晴らしかったです。艦橋、煙突、マスト、艦載機、ディテールアップの要所となるポイントはしっかりと押さえられていました。純正エッチングパーツのみでこの仕上がりなら間違いなく当たりのキットだと言えます。っというのも、特シリーズにも当たりとハズレはあります。今までの一番のハズレは大淀でした。一番目立つ箇所のエッチングパーツの寸法がおかしいという致命的な欠陥がありました。少し話が脱線してしまいましたが、、製作過程では省略しましたが、菊紋章もエッチングパーツ化されていて、これがまたすごくいい感じです。完成写真の正面からアングルを見て下さい。とてもリアルです。

ほぼほぼ合格点のキットだったのですが1つだけ不満がありました。それは、ラッタルのステップが非常に曲げにくかったです。ステップの幅が短すぎです。純正エッチングパーツには停泊状態を再現するための舷門、舷梯のパーツも付属していたいのですが、ステップ曲げに失敗し粉々になってしまい、今作は航海中ということにしました。航海中なら錨見台もたたんだ状態のほうが良いのかなとも思いましたが、せっかく作ったのでそのままにしました。

ステップ曲げに失敗してしまうとは、私もまだまだ修行が足りませんね。さらなる上達を目指して次なるキットの製作に取り掛かります。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

コメント

  1. 篠原 可亮 より:

    日向、拝見しました。
    もう芸術の領域ですね。本当に感動します。
    わたしはエッチングパーツすらうまく使えず、
    接着剤での接合が精一杯です。
    陸奥に続いて、日向が2隻目でしたが、初心者レベルでしたね。
    今はこちらの写真を参考にしながら、これからの製作がんばります。

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